ゆで卵が臭い? 硫黄臭さの原因とお弁当のゆで卵について

ゆで卵が臭い?

ゆで卵には、特有の臭いが気になることがあります。

臭いの原因は“硫化水素(H2S)”であり、卵を加熱すると卵白のタンパク質(シスチン、メチオニン)のジスルフィド結合が還元されて硫化水素が発生するために“臭う”ようになります。(※硫黄臭と言われますが厳密には硫化水素臭です)

ゆで卵が臭く感じられる原因は、硫化水素の臭いです。

ゆで卵の臭いの原因は?

ゆで卵は、硫黄臭が気になることがあります。

これは、卵(卵白)に含まれているタンパク質が還元されると硫化水素(H2S)を発生するためであり、この硫化水素の臭いこそが“硫黄臭”として「温泉地のような臭いがする」「おならのような臭いがする」などのように嫌われています。

ゆで卵が苦手な方の多くは、この硫黄臭が原因となっているはずです。

MEMO
ゆで卵の“硫黄臭”は、硫化水素が原因になっています。このことからも、厳密にいえば「硫黄臭=間違い」「硫化水素臭=正しい」ということになるのですが、日本語としては硫黄臭というのも間違いではありません。これは、言葉の成り立ちとして「いおう」が「ゆのあわ(硫化水素)」からきているためです。
参考 放送研究と調査NHKオンライン

ゆで卵が臭くならないコツは?

ゆで卵の臭いには、2つの条件がかかわっています。

ひとつめが“加熱条件”であり、ふたつめが“卵の鮮度”です。これは、卵白に含まれているタンパク質には、加熱と塩基性(アルカリ性)pHにより“硫化水素が発生しやすくなる”という特徴があるためです。

まとめると、以下のようになります。

条件方法
加熱条件長時間の加熱をしない
加熱後は急冷する
卵の鮮度鮮度の落ちすぎた卵はゆで卵にしない

これらを守るだけでも、ゆで卵は臭くなりにくくなります。

卵の加熱条件と硫黄臭の原因は?

ゆで卵は、適切な加熱時間の後に急冷します。

これには、「タンパク質の熱変性を最適なタイミングで止める」「硫化水素の発生量を抑えて変色しにくくする」「圧力を下げることで硫化水素を外側に向かわせて気孔から逸散させる」などの目的があります。

このことからも、ゆで卵は氷水にとることがポイントになります。

ゆで卵を冷やす温度は5℃以下が望ましいとされています。そのため、真冬は水道水でもOKですがそれ以外の季節には氷水を使います。氷水が準備できない場合には、流水にあてて可能な限り水温が上がらないように冷やしていきます。

卵の鮮度と硫黄臭の関係は?

ゆで卵は、卵の鮮度が落ちているほどに臭くなりやすくなります。

これは、硫化水素の発生量には卵白のpH(水素イオン指数)が深くかかわっているためです。卵白は鮮度が落ちるほどに(卵白中の二酸化炭素が抜けて)pHが高くなります。そのため、硫化水素の発生量が増えることにより硫黄臭が強くなります。

卵白のpHは、「産卵時7.5付近→10日ほどで9を超える→最終的には9.5程度」のように変化していくことが確認されています。

お弁当のゆで卵は臭くなりやすい?

お弁当のゆで卵は臭いやすくなります。

これはお弁当のゆで卵が“固ゆで卵”であるためであり、半熟卵であれば臭いにくくなります。しかし、半熟卵は傷みやすいために(食中毒予防の観点からも)お弁当のゆで卵には固ゆで卵が推奨されています。

ゆで卵は、固ゆでは臭いやすく、半熟は傷みやすくなります。

そのため、肌寒い季節には卵黄に赤みが残る程度に火を通し、暖かい季節には固ゆで卵にすることがセオリーとされています。(※個人的には固ゆで卵を単体で食べることが苦手なこともあり、暖かい季節のお弁当にはゆで卵を入れないようにしています)

ゆで卵を臭わないようにするには、(味つけでごまかすか)鮮度の高い卵を卵黄に赤みが残る程度に茹でるしかありません。

【まとめ】ゆで卵が臭い?

ゆで卵には、硫黄臭が気になるものがあります。ゆで卵の硫黄臭には「加熱時間」と「卵の鮮度」が関係しています。「加熱時間が長すぎる」「卵の鮮度が落ちている」などの条件下では卵白に含まれているタンパク質中のジスルフィド結合(S-S結合)が還元されやすくなることからも硫化水素(H2S)の発生量が増えてしまいます。この硫化水素の臭いこそがゆで卵特有の臭い(硫黄臭)として嫌われることがあります。

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