ぬか床が臭い? アルコール臭やアンモニア臭の原因について

ぬか床が臭い?

ぬか床には様々なにおいが混在しています。

においには「匂いの香気成分」と「臭いの臭気成分」に分けられます。しかし、同じ成分であっても濃度の違いによりにおいの印象は変わりますし、エステル化などにより大きく変化することもあります。

そこで、においに関わる成分である「有機酸」「アルコール」「エステル」「フェノール化合物」「ラクトン類」についての概要を説明していきます。

有機酸とアルコールについて

有機酸とアルコールについて

ぬか床には、有機酸とアルコールが含まれています。

臭いに関わる主な有機酸としては「プロピオン酸」「酪酸」「酢酸」などがあります。プロピオン酸は「酸っぱいような刺激臭」、酪酸は「蒸れた足や銀杏のような臭い」、酢酸は「酸っぱい刺激臭」であることが特徴です。

基本的に、大半のぬか床の悪臭は有機酸に起因しています。

ぬか床には、少量のアルコールが含まれています。主なものには「エタノール」「プロパノール」「ブタノール」「ヘキサノール」「リナロール」などがあり、微量であれば芳醇な香りとして好まれ、多量になるとアルコール臭として嫌われる傾向にあります。

ぬか床のアルコール臭は、これらのアルコールが増えすぎた結果です。

MEMO
アンモニア臭が生じることもあります。アンモニアの原因はタンパク質であり、蛋白質が微生物によって分解される過程で「窒素を含むアミンやアンモニアが生じる」ことになります。トイレのような臭いや腐敗臭は、蛋白質食材を加えすぎた時に起こりやすい問題です。

エステルについて

エステルについて

前項の有機酸とアルコールは、エステル化します。エステル化とは「酸とアルコールがエステルを生成する反応」であり、においを生じるものが多いことからも様々な香料として利用されているという側面があります。

ぬか床においては、「華やかな香気を与える成分」として重要視されます。

有機酸+アルコールエステルにおい
酪酸+プロパノール酪酸プロピルブドウのような果実臭
酢酸+プロパノール酢酸プロピルシンナー臭
プロピオン酸+エタノールプロピオン酸エチルパイナップルのような果実臭

ぬか床に生じるフルーティーな香りは、有機酸とアルコールがエステル化することにより生じています。しかし、これらの匂いは強くなるほどにシンナー臭やセメダイン臭と呼ばれるにおいへと変化していきます。

ぬか床のシンナー臭は、各種エステルが過剰に生成された結果です。

フェノール化合物やラクトン類について

フェノール化合物やラクトン類について

ぬか床のにおい成分はとにかく複雑です。

ぬか床の熟成が進むと醤油の熟成香気とされるフェノール化合物(4-エチルグアイアルコール)により香ばしい燻煙香が生じて香気成分として好まれますが、濃度が高すぎると薬品臭が生じてしまうことからも臭気成分として嫌われます。

ラクトンとは環状エステルのことです。ぬか床には複数のラクトンが生成されており、「桃のような香り」「花や柑橘のような香り」といった甘い香気成分として好まれています。ラクトンは、ぬか漬けのコク味になると考えられています。

このことからも、ラクトン類が臭気成分になる可能性は低いと考えられます。

【まとめ】ぬか床が臭い?

ぬか床が臭くなるのには複数の原因が考えられます。たとえば、蒸れた靴下のような臭いがするのであれば酪酸などの有機酸が原因ですし、アルコール臭はアルコール、シンナー臭はエステルが原因になっています。薬品臭がするのであればフェノール化合物が考えられます。基本的には、それぞれに合った対策を取ります。しかし、何をしてもぬか床の臭さが改善しないのであれば、麹を加えてみることをおすすめします。麹には豊富な酵素が含まれていますので、驚くほどにぬか床臭さが解消されていきます。

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