鉄フライパンの使い方を説明します。
鉄フライパンの使い方は難しくありません。しかし、間違った使い方をしてしまうと「くっつく」「焦げる」「サビる」などの問題が生じやすいフライパンでもありますので、まずは基本的な使い方を理解しておく必要があります。
正しく使えるようになれば、心強い相棒になってくれます。
鉄フライパンの使い方は?

鉄フライパンの使い方は、フッ素樹脂加工のフライパンとは異なります。
フッ素樹脂加工のフライパンは油を入れてから火にかけますが、鉄のフライパンは熱してから油を加えます。この順番を逆にしてしまうとフッ素樹脂加工のフライパンはフッ素樹脂を傷めますし、鉄フライパンはくっつきやすくなります。
根本的に異なる性質を有することを理解しておく必要があります。

鉄フライパンを火にかけます。劣化した油の発煙点付近(180℃以上)まで熱することがポイントであり、しっかり熱しておかないと“吸着水”が残るためにくっつきやすいフライパンになってしまいます。しかし、熱し過ぎると樹脂層が焼き切れてしまいますので「軽く煙が出てくるくらい」のタイミングを見誤らないことがポイントになります。

煙が確認できたら、油を加えて火を弱めます。鉄は比熱に優れた素材ですので、弱火にしても十分に熱を伝えることができます。ここで火を弱めておかないと、強すぎる熱により料理が焦げてしまいます。鉄の比熱は、0.461kJ/kg・K(参考値)です。

ここからは普通に調理できます。ただ、肉や魚などのくっつきやすい食材の場合は蛋白質の熱変性(熱により表面が固まるの)を待ってから動かすようにします。たったこれだけのことでも、肉や魚、目玉焼きなどをきれいに焼くことができます。

調理が終わりましたら、熱を持っているうちに少量の水を加えてこすり洗いをします。熱湯で洗うような形になりますので、多少の焦げ付きなどであれば簡単に落ちてくれます。その際、たわしよりも竹ささら(中華鍋などの洗浄道具)の方が使いやすいです。あとは、火にかけて水分を飛ばしてから片付けます。
以上が、基本的な使い方です。
フッ素樹脂加工のフライパンからの切り替えの場合、古いフライパンは取っておいてください。鉄フライパンには「酸やアルカリに弱い」という性質がありますので、お酢を使う料理などにはフッ素樹脂加工のフライパンをおすすめします。
鉄フライパンを使うと、油による樹脂層が剥がれ落ちてしまいます。
熱してから油を入れる理由は?

鉄フライパンは、熱してから油を加えます。
フッ素樹脂加工のない鉄フライパンには“吸着水”と呼ばれる水分が付着しており、吸着水が残っていると「鉄に対する油の吸着量が低下する」ことが確認されています。そのため、空焼きすることで吸着水を飛ばしてから油を加えます。
煙が出るまで熱してから油を加えるのは、吸着水を飛ばすためです。
参考 金属表面と水J-STAGE弱火で調理する理由は?

鉄フライパンは、弱火で調理します。
「鉄フライパン=強火」のようなイメージを持つ方も少なくありません。しかし、鉄は比熱に優れた材質であるために「いったん温まってしまえば、火を弱めても温度を維持しやすい」という特徴を持ちます。
以下は主な材質の比熱(参考値)です。
材質 | 比熱(kJ/kg・K) |
---|---|
鉄 | 0.461 |
アルミニウム | 0.900 |
ステンレス | 0.502 |
このことからも、鉄フライパンは弱火で調理できます。
もちろん、「フライパンのサイズに対して食材の分量が多すぎる」「食材の温度が極端に低い」などの場合には温度が下がってしまうこともありますが、常識的な調理方法をしていれば問題になることはありません。
【まとめ】鉄フライパンの使い方は?
鉄フライパンは、発煙点付近まで熱してから油を加えます。また、鉄は比熱に優れた素材ですので、油を加えたら弱火に落としてから調理をします。これによって食材の端が焦げたりくっついてしまうことを防げます。調理が終わりましたら竹ささらでこすり洗いをし、火にかけて乾かしてから片付けます。