料理酒のアルコールを飛ばすには?

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こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。

和食における料理酒は日本酒(清酒)です。料理酒を加えることによって「味がしみ込みやすくなる」「風味がよくなる」「不快な臭いを揮発させられる」「保存性が高くなる」「肉が柔らかくなる」などのメリットが得られます。

しかし、アルコールが残りすぎてしまえば料理を台無しにしてしまうこともあります。

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今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 料理がアルコール臭くなってしまうことがある。
  • 料理酒のアルコールを飛ばすにはどうする?
  • アルコールは料理にどのくらい残るのか?

基本的に、料理酒は煮切ってから使います。

料理酒を煮切らずに使用しているレシピもありますが、使用量が多い場合や加熱時間が短い場合には煮切り酒にして(アルコールを飛ばして)から使用するのがセオリーです。アルコールは分子量が小さいために食材に浸透して抜けにくくなります。

特に子供や妊婦、アルコールに弱い体質の方が運転を控えている場合などには注意が必要です。煮切らなければ、アルコールは想像以上に残ります。

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料理酒を煮切る方法は?

料理酒は煮立たせてから使います。

料理酒や本みりんの主役はアルコールではありません。もちろんアルコールを目的として使用することもありますが、多くは日本酒に含まれているうま味や本みりんに含まれている甘味を目的として使用することが多くなります。

よってアルコールは飛ばしてしまっても問題はありません。

  1. 料理酒を小さな鍋などに入れます。

  2. 中火位で軽く煮立たせます。

  3. チャッカマンなどで炎をつけます。

  4. 炎が消えるまで煮立たせ続けます。

これにより大部分のアルコールは飛ばせます。

料理酒や本みりんを煮立たせてアルコールを飛ばす(揮発させる)ことを「煮切る」といいます。レシピによっては煮切り酒(または煮切りみりん)と表記されていることもありますが、煮切る工程が省略されているレシピも少なくありません。

料理酒の分量によっては必ずしも必要な工程とは言えませんが、アルコール臭い料理はおいしくありませんので煮切り酒にしてから使用するのがセオリーとなっています。

【補足説明】アルコールが燃えると火柱のようになります。はじめてアルコールに火をつける場合には驚くかもしれませんが、炎はアルコールの減少により自然に消えますので冷静に対処するように心がけてください。(※火をつけるのはアルコールの揮発加減の目安にすぎませんので、怖ければ火をつける必要はありません)

アルコールの揮発温度は?

アルコールの揮発温度は約78℃です。

アルコールには「水よりも沸点が低い」という特徴がありますので、料理酒を煮立たせることによりアルコールを揮発させることができます。この煮立たせること(煮沸処理のこと)を料理の世界では「煮切る」といいます。

基本的に料理酒や本みりんは煮切ってから使用するものになります。

たとえばお浸しや酢の物には煮切り酒を使うのが基本になりますし、肉うどんなどのようにだしに甘味を加えたい場合には煮切りみりんを使います。これらを煮切らずに使用してしまうと料理がアルコール臭くなっておいしくありません。

使用量や加熱時間にもよりますが、基本的に料理酒や本みりんは煮切ってから(アルコールを飛ばしてから)使用します。

料理にアルコールが残る理由は?

調理はアルコールを揮発しにくくさせます。

アルコールの沸点は約78℃です。このことからも「軽く沸騰させれば揮発するのでは?」と考えるかもしれませんが、アルコールには「分子量が小さい(46.07)」という特徴があるために食材内部に浸透して抜け出しにくくなります。

また料理に含まれている糖質、たんぱく質、脂質などによるとろみ(粘度の上昇)はアルコールの揮発を阻害するような働きをします。これらのような仕組みにより煮切らなかった料理酒のアルコールは料理に残ります。

しかしデメリットばかりでもありません。

料理酒由来の微量のアルコールには「料理に芳香な香りを付加する」「アルコールの殺菌作用により料理が傷みにくくなる」などのメリットがあるためにアルコールが残ることの良し悪しは程度の問題であるといえます。

ちなみに煮切り酒にしても微量のアルコールは残りますので、上記のようなメリットも十分に享受することができます。

どのくらいのアルコールが残るのか?

料理酒は煮切り酒にしてから使用するのがセオリーです。

煮切らずに料理に使用してしまうと料理がアルコール臭くなってしまうことがあります。どのくらい残るのかに関しては料理酒の分量や加熱時間などに影響されるために確実なことは言えませんが、アルコールが料理に残りやすいことは確実です。

以下はマギーキッチンサイエンスからの引用になります。

しかし、どんな料理法でも完全にアルコールを飛ばしてしまうことはできない。長時間煮込んだ場合でも、最初に加えたアルコールの5%ほどは残っていることが、実験で明らかになっている。加熱時間の短い料理では10~50%、フランベでは75%ほども残っている。

驚くほどに残っていると感じられるはずです。

しかし過度に心配する必要はありません。煮立たせていない料理酒を10%加えたとしても(アルコール度数を14%と仮定)その時点でのアルコール濃度は約1.27%(1.4÷110×100=1.27)になりますし、そこから調理により揮発していくことになります。

たとえば10%のアルコールが残ったと仮定すると約0.13%(0.14÷110×0.13)のアルコールが残ることになります。このくらいの濃度であれば問題になることはありません。

そもそも、料理酒は煮切り酒にしてから使用するのがセオリーです。青魚の味噌煮などのように意図的に煮切らずに使用することもありますが、多くの料理では煮切り酒にしてから使用しますので問題になるほどのアルコールは残りません。

これらのことからも料理酒は煮切ることが大切です。

【補足説明】料理酒や本みりんを煮切らずに使用すると料理がアルコール臭くなることがあります。道路交通法(酒気帯び運転)で検挙されるのは血中濃度0.03%以上ですので料理によって酒気帯び運転になることはありません。しかしアルコールは血中濃度0.01%未満であっても集中力を低下させますのでアルコール臭い料理は食べないに越したことはありません。

まとめ・料理酒のアルコールを飛ばすには?

料理酒は煮切り酒にしてから使用します。

アルコールは分子量が小さいために食材に浸透します。さらに食材の糖質、脂質、たんぱく質などによるとろみ(粘度の上昇)によりアルコールは揮発しにくくなっていきます。料理酒を煮切らずに使用すると料理がアルコール臭くなることがあるのはこのためです。

レシピによる違いはありますが、料理酒は煮切ってから使用するのがセオリーとなります。