
食材には、粉をまぶすことがあります。
粉をまぶすことにより、「うま味や水分などを閉じ込めることができる」「メイラード反応をコントロールしやすくなる」「味をなじませやすくなる」「衣をつけやすくなる」などのメリットが得られるためです。
粉の種類は、目的により使い分けられます。
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うま味や水分を閉じ込める?

粉は、食材に壁を作ります。
多くの粉類には澱粉が含まれています。澱粉は加熱されることで「澱粉の壁」を作りますので、うま味や水分が逃げにくくなります。粉をふることによって「うま味が逃げにくくなる」「蒸し焼きのような状態になる」などのメリットが得られるわけです。
パサつきやすい食材の調理には、特におすすめできます。
たとえば、水晶鶏が長く加熱しているにもかかわらずしっとりしているのは「澱粉の壁によって蒸し料理のようになっている」からです。片栗粉をまぶさずに加熱してしまえば、すぐにパサパサになってしまいます。
接着剤としての効果とは?

粉類には接着剤としての効果もあります。
たとえば、パン粉をつけて揚げるフライを作るには「小麦粉→卵→パン粉」の順につけていくかと思います。この場合の小麦粉には「澱粉の壁を作ってうま味や水分を閉じ込める効果」の他に「卵やパン粉がはがれにくくなる効果」もあります。
塗装に用いられるプライマー(下塗り塗料)と同じような働きをするというわけです。
ちなみに、ポテトコロッケなどには小麦粉をふらないレシピもあります。これはジャガイモに含まれる澱粉が小麦粉の役割を兼ねるためであり、小麦粉をふらなくても大きな違いにはなりません。
料理をおいしくする香ばしさとは?

焼き色は、料理のおいしさに深く関わっています。
料理における好ましい焼き色はメイラード反応(アミノカルボニル反応)と呼ばれており、メイラード反応は料理に対して「褐変反応が起こす」「多数の香気成分を生成する」などの変化を起こします。
おいしい料理には、メイラード反応が欠かせません。
メイラード反応には「アミノ酸と還元糖の結合を出発点としている」という特徴がありますので、メイラード反応が起こりにくい食材であっても粉(小麦粉など)をふることによって褐変反応や香気成分の生成が起こりやすくなります。
豚肉に小麦粉をふることが多いのは、豚肉が焼き色の付きにくい食材であるためです。
小麦粉や片栗粉などの使い分けは?

粉類は、調理法によって使い分けられます。
たとえば、うま味や水分を閉じ込めるためには澱粉含有量の多い片栗粉が適していますし、焼き色や香ばしい香気成分を重視する場合には蛋白質(アミノ酸)含有量の多い小麦粉が適しているということになります。
以下は、主な特徴です。
種類 | 特徴 |
---|---|
片栗粉(澱粉) | うま味や水分を閉じ込めやすい |
小麦粉(澱粉+蛋白質) | メイラード反応が起こりやすい |
味の複雑さにより使い分けることもあります。
ちなみに、粉類は調理の直前にまぶすのがポイントです。粉をまぶしてから調理までの時間が空いてしまうと、粉に粘りが出てしまいます。粘りの出た粉類には「食感が悪くなる」「調理が難しくなる」などのデメリットが生じますので注意が必要です。
また、ムラなく薄くつけることもポイントであったりもします。
まとめ
食材に粉をまぶす理由は?
食材には粉をまぶすことがあります。片栗粉には「うま味や水分を閉じ込めやすくなる」というメリットがありますし、小麦粉には「メイラード反応(アミノカルボニル反応)をコントロールしやすくなる」というメリットがあるためです。