ぬか床には、白い膜が張ることがあります。
白い膜の正体は“産膜酵母”であり、その名の通り膜を張るように増える酵母菌の一種です。基本的にはぬか床にとっての善玉菌に分類される微生物ではありますが、増えすぎるとシンナー臭や腐敗の原因になることもあります。
産膜酵母は、適切な手入れによってコントロールすることが可能です。
産膜酵母の特徴は?

産膜酵母は、空気を好む微生物です。
そのため、ぬか床の表面に白い膜を張るように増えていきます。他の酵母菌と同じように空気がなければ生育が制限されることになりますので、天地返しの頻度を増やすことによりある程度はコントロールすることができます。
産膜酵母は、ぬか床に芳醇な香りを付加します。
ぬか床に生育する産膜酵母の多くは、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)と呼ばれる酢酸エチル産生菌です。酢酸エチルは微量であればパイナップルのような果実臭の原因となり、多量になるとシンナー臭の原因になります。
そのため、産膜酵母は減らし過ぎても増やし過ぎても良くありません。
産膜酵母に対する手入れは?

産膜酵母は、手入れによって調節します。
基本的に、産膜酵母は「乳酸を消費して増える(またはアルコールを生成する)微生物」です。そのため、産膜酵母が目立つということは乳酸菌が増えてぬか床の熟成が進んでいる証拠にもなります。
よって、増えすぎは良くありませんが減らしすぎも良くありません。
手入れ | 効果 |
---|---|
天地返し | 空気を遮断します |
足しぬか | 乳酸(エサ)を減らします |
塩を足す | 生育を鈍化させます |
冷蔵庫管理 | 生育を鈍化させます |
ぬか床の微生物は、暖かいと活発になります。
そのため、夏には天地返しや足しぬかの頻度が高くなりますし、塩分濃度を高くして管理しなければ異常発酵してしまうリスクも高まります。手間をかけるのが苦痛になるようであれば、盛夏だけでも冷蔵庫管理に切り替えることをおすすめします。
冷蔵庫管理であれば、塩分濃度を高くする必要もありません。
【まとめ】ぬか床の白い膜の正体は?
ぬか床の白い膜は、産膜酵母と呼ばれる酵母菌です。酵母菌ですので、アルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)を生成します。微量であればパイナップルのような果実臭を発しますが、増えすぎるとシンナー臭となってぬか床を駄目にしてしまう恐れがあります。