米の吸水時に氷を加える理由は? 炊飯前に冷水で浸漬するメリットについて

米の吸水時に氷を加える理由は?

米は冷水で吸水させるとおいしく炊けます。

これは低温での吸水により「ご飯が柔らかく炊けて粘りも強くなる」「甘味が強くなり時間経過による食味の低下も起こりにくくなる」などのメリットを得られるためです。そのためには水の一部を氷に置き換えたうえで冷蔵庫に入れておくなどして温度を下げます。

水に浸ける時間は長くなりますが、時間をかける価値は十分にあります。

米をおいしく炊くための浸漬方法は?

米をおいしく炊くための浸漬方法は?

米の吸水は低温で行います。

低温で吸水させることにより「ご飯が柔らかく炊けて粘りも強くなる」「甘味が強くなり食味の低下が起こりにくくなる」などのメリットが得られます。そのため、水加減の一部を氷に置き換えて温度を下げることが推奨されています。

また、浸漬時は(氷を加えたうえで)冷蔵庫に入れておきます。

低温での浸漬は常温での浸漬よりも時間がかかりますので、最低でも120分は浸しておくことがポイントになります。5℃前後の低温を維持できるのであれば720分(12時間)ほど浸しておいても問題はありません。

前の晩に準備するのであれば低温浸漬がおすすめです。

ご飯が柔らかく炊けて粘りも強くなる理由は?

ご飯が柔らかく炊けて粘りも強くなる理由は?

低温浸漬は米粒の飽和吸水率を上昇させます。

飽和吸水率が高くなるということは米粒の中心部まで十分に吸水しているということになります。米粒がムラなく吸水ていると、炊飯時の加熱ムラ(でんぷんの糊化にムラができること)を防ぐことができてご飯がおいしく炊けます。

また、米粒に芯の残る“にわかだきごはん”を防ぐことができます。

ちなみに粘りのないご飯が好みである場合には”塩麹”や”ハチミツ”を加えて炊くことによりパラパラとしたご飯になります。これは塩麹やハチミツに含まれている酵素がでんぷんを分解するためであり、分解されたでんぷんは糊化しないために粘りが出なくなります。

しかし、酵素の働きは温度により変化しますので好みの食感にコントロールするには慣れが必要です。

MEMO
芯の残るご飯(にわかだきごはん)と粒感のあるご飯は全くの別物です。前者はでんぷんの糊化にムラができている炊飯不良ですが、後者は細胞膜(ペクチン)が保持されるように調理されている調理テクニックです。粒感のあるご飯にする場合には、ペクチンを不要性にするためににがり(塩化マグネシウム)などが利用されます。

食味の低下が起こりにくくなる理由は?

食味の低下が起こりにくくなる理由は?

温度を低くしておくと酵素が働きやすくなります。

炊飯時の温度上昇期に時間をかけると米粒内の酵素が反応しやすくなるためにでんぷんが分解されて甘味が強くなります。酵素により増加した低分子の糖には「でんぷんの老化(β化)を妨げる」働きがありますので食味が落ちにくくなります。

冷めても美味しいご飯になるというわけです。

また、でんぷんの老化(でんぷん分子の再配列)の起こりにくいご飯というのは冷凍保存後に解凍しても食味の低下が起こりにくくなります。

【まとめ】米の吸水時に氷を加える理由は?

米に氷を加えることがあるのは水温を下げるためです。低温で吸水されたご飯は「食味の向上」や「でんぷんの老化(β化)が起こりにくくなる」などのメリットが得られます。そのため、水の一部を氷に置き換えたうえで冷蔵庫にて吸水させるなどのテクニックが用いられます。飽和吸水率に達するまでには時間がかかります(120分以上)が、時間をかけるだけの価値は十分にあります。

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