ぬか漬けが酸っぱい? 足しぬかがぬか床の酸味を和らげる理由

ぬか漬けが酸っぱい?

ぬか床は、酸っぱくなりすぎることがあります。

原因は、乳酸菌です。ぬか床には乳酸菌が生育していますので、乳酸菌が増えすぎれば酸味の強いぬか床になってしまいます。適度な酸味はぬか漬けの長所となりますが、強すぎる酸味はぬか床へのダメージとなることもあります。

正しい方法で、酸味を和らげる必要があります。

ぬか床の酸味を和らげるには?

ぬか床の酸味を和らげるには?

酸味を和らげるには、いくつかの方法があります。

乳酸菌は、嫌気性(通性嫌気性)の微生物です。通性嫌気性の微生物は、空気(酸素)のある環境では生育が鈍ります。そのため、天地返しや足しぬかによって“空気に触れさせる(気相を増やす)“ことで生育を遅らせることができます。

以下は、主な対策方法とその作用です。

手段効果
天地返し空気に触れさせる
足しぬか気相を増やす
食塩を加える生育抑制
卵殻を加える酸の中和

基本的には足しぬかで対応できます。

しかし、室温が25℃を大幅に上回るような季節には「天地返しの頻度を増やす→足しぬかをする→塩分濃度を高くする→」のような対策では追いつかなくなります。そのような場合には、冷蔵庫管理に切り替えることをおすすめします。

卵殻に関しては、おすすめしていません。

天地返しや足しぬかの効果は?

天地返しや足しぬかの効果は?

乳酸菌は、酸素を嫌います。

ぬか床に生育している微生物には、酸素を好むものと好まないものがいます。ぬか床の酸味は乳酸菌の生成する乳酸によるものですので、乳酸菌を減らすように手入れをすることで酸味を和らげることにつながります。

以下が主な微生物の特徴です。

微生物酸素感受性生成物
乳酸菌嫌気性菌
(通性嫌気性菌)
乳酸
酪酸菌嫌気性菌
(偏性嫌気性菌)
酪酸
酵母好気性菌アルコール
二酸化炭素

乳酸菌は、酸素のある環境では増えません。

そのため、「天地返しの頻度を増やす」「足しぬかをして気相を増やす」などによって酸味は和らいでいきます。しかし、気相を増やし過ぎると酵母菌が優位になることによりアルコール臭が強くなる可能性もあります。

急激に変化させることはおすすめしません。

MEMO
通性嫌気性と偏性嫌気性の違いは、酸素感受性の強さです。通性嫌気性菌である乳酸菌は「酸素を苦手とはするものの死滅はしない微生物」であり、偏性嫌気性菌である酪酸菌は「大気レベルの酸素であっても即座に死滅してしまう微生物」です。そのため、酪酸の靴下をはき古したような臭いは天地返しによって抑制できます。

食塩や和がらしの効果は?

食塩や和がらしの効果は?

食塩や和がらしには、殺菌作用があります。

たとえば、ぬか床の塩分濃度は6%前後にコントロールされていますが、これは食塩の殺菌作用によって耐塩性を持たない微生物を寄せ付けないためです。腐敗菌の多くは耐塩性を持ちませんので、塩分によって腐りにくくしています。

これは、乳酸菌に対しても効果があります。

ぬか床に生育している乳酸菌には耐塩性があります。しかし、耐塩性を持つ微生物であっても塩分濃度が高くなることにより生育スピードが鈍化しますので、ぬか床が急激に酸っぱくなることを防げるというわけです。

和がらしにも似たような効果を望めます。

卵殻の作用とおすすめしない理由は?

卵殻の作用とおすすめしない理由は?

卵殻は、直接的に酸味を中和します。

卵殻の主成分である炭酸カルシウムは塩基性(アルカリ性)です。ぬか床の酸味は乳酸によるものですので、卵殻が加えられることにより水素イオン指数(pH)が中和されて酸味が和らぐことになります。

卵殻に効果には即効性があります。

しかし、おすすめはしません。卵殻を加えることには「サルモネラ菌(感染型の細菌性食中毒菌)の侵入」や「pHが上昇することによるぬか床の腐敗」のリスクがあります。効果はありますが、それ相応のリスクもあります。

基本的には、足しぬか(水分量の調節)と食塩の追加。それでもダメなら冷蔵庫管理に切り替えることをおすすめします。

MEMO
どうしても卵殻を加えなければいけない場合には”お茶パック”に入れから加えることをおすすめします。そして、酸味が和らぎましたら早急に取り除くようにしてください。

【まとめ】酸っぱいぬか床の対処方法は?

酸っぱいぬか床は、乳酸菌を抑制することにより和らぎます。具体的な方法には「天地返しや足しぬかの頻度を増やす」「食塩や和がらしを加える」「卵殻を加える」などがありますが、卵殻を加えることはおすすめしません。盛夏など、どうしてもコントロールしきれない場合には冷蔵庫管理に切り替えることをおすすめします。

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