ハンバーグに加える玉ねぎの役割は? 割合と生ではなく炒める理由について

ハンバーグの玉ねぎの役割は?

ハンバーグには、玉ねぎが加えられます。

玉ねぎには「甘味を加える」「食感をもろくする」「肉の臭みを消す」などの役割があります。合い挽き肉であれば肉に対して30~50%、牛挽き肉であれば肉に対して15~20%の割合で加えるのがセオリーとされています。

玉ねぎの炒め方は目的により異なり、生の玉ねぎを加えるレシピも存在します。

玉ねぎの役割は?

玉ねぎの役割は?

ハンバーグには、炒めた玉ねぎを加えます。

玉ねぎには「甘味を加える」「固くなりがちな食感に“もろさ”を加える」などの効果があり、合いびき肉の柔らかいハンバーグには30~50%ほど、牛肉のみで作る肉々しいハンバーグには15~20%ほど加えるのがセオリーとされています。

つなぎのためではありません。

「ハンバーグの副材料=つなぎ」のようなイメージを持たれる方も多いかと思いますが、つなぎとしての役割を果たすのは「たんぱく質を溶かす働きのある塩」と「材料をまとめる働きのある卵」となります。

玉ねぎやパン粉は、もろく崩れるような食感を生み出すために加えられています。

炒めてから加える理由は?

炒めてから加える理由は?

ハンバーグの玉ねぎは、炒めてから加えます。

玉ねぎは炒めることにより「甘くなる」「柔らかくなる」「水分を減らせる」などのメリットがあるためです。もちろん、玉ねぎを炒めずに加えるレシピもありますが、一般的なハンバーグのレシピでは炒めてから加えるのがセオリーとなっています。

以下は、主なメリットとその仕組みです。

炒めるメリット仕組み
甘くなる辛み成分が甘味成分に変化する
柔らかくなるペクチンが軟化する
水分を減らせる肉汁を閉じ込めやすくなる

玉ねぎの炒め具合はレシピにより異なります。

たとえば、濃厚な味つけのハンバーグには茶色くなるまで炒めてメイラード反応(アミノ-カルボニル反応)による香ばしさを利用しますが、淡白な味つけのハンバーグには弱火で水分を抜くようにして甘味が引き立つように炒めます。

特にこだわりがない場合にはペクチンの軟化(加熱により生の食感をなくすこと)を目的に炒めることもあります。玉ねぎを炒めないレシピは食感を生かす(ペクチンを軟化させない)ためです。

炒めることで甘くなる理由は?

炒めることで甘くなる理由は?

玉ねぎを炒めると甘くなります。

これは、玉ねぎに含まれている刺激的な辛味成分(チオプロパナール-S-オキシド)には熱が加わることにより分解して甘味の強い成分(プロピルメルカプタン)に変化するという性質があるためです。

プロピルメルカプタンの甘味は、ショ糖の50~70倍です。

また、水分が抜けるためにうま味が凝縮されます。これらのことからも、ハンバーグの玉ねぎは時間をかけてじっくりと炒めることがポイントになります。

強火で炒めると台無しになってしまいます。

MEMO
炒めた玉ねぎは、粗熱が取れてからひき肉と合わせます。これには「ひき肉の熱変性や脂が溶けるのを防ぐ」ことと「できる限り余分な水分を飛ばす」ことが目的となっています。玉ねぎを炒めてからひき肉をこね始めるくらいがちょうど良かったりもします。

玉ねぎが固くなる仕組みは?

玉ねぎが固くなる仕組みは?

生の玉ねぎは、ハンバーグの中で固くなります。

これは、植物の細胞壁や中葉を形成しているペクチンには”50~80℃で硬化する”という性質があるためです。ハンバーグは中心温度を75℃になるまで加熱する料理ですので、玉ねぎを生のまま加えてしまうと固くなってしまいます。

生の状態よりも、シャキシャキとしてしまうというわけです。

メンチカツにはペクチンの硬化が利用されることもあります。ハンバーグとメンチカツは共通点の多い料理ですが、メンチカツには生の玉ねぎやキャベツなどを加えることによりさっぱりとした食感を生み出しています。

パン粉揚げの重さを食感で補っているともいえます。

肉汁を閉じ込められなくなる?

肉汁を閉じ込められなくなる?

ハンバーグには、よくこねるレシピとあまりこねないレシピがあります。

ひき肉は、よくこねることによりタンパク質(ミオシンとアクチン)が網目構造のアクトミオシンとなって肉汁を逃がしにくくなりますが、そのままでは固くしまった食感になってしまいますので副材料により“もろさ”をだします。

パン粉には、もろさの他に肉汁を閉じ込める効果もあります。

しかし、パン粉による肉汁を閉じ込める効果にも限界がありますので、生の玉ねぎを加えてしまうと水分があふれ出してしまうリスクがあります。玉ねぎをためるのには、水分を減らしてパン粉が肉汁を保持する余地を残すためでもあります。

【まとめ】ハンバーグに加える玉ねぎの役割は?

ハンバーグに玉ねぎを加えるのには、「甘味を加える」「食感をもろくする」「肉の臭みを消す」などの効果を狙ってのことです。合い挽き肉の場合には肉に対して30~50%、牛挽き肉の場合には肉に対して15~20%ほど加えるのがセオリーとなっています。基本的には炒めた玉ねぎが加えられますが、玉ねぎの食感を生かしたい場合には生の玉ねぎを加えることもあります。これは「植物の細胞壁や中葉を形成しているペクチンには50~80℃で硬化する」という性質を利用するためです。さっぱり食べたい場合にはおすすめです。

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