くっつく鉄フライパンとくっつかない鉄フライパンの違いは? 使い方と油膜について

鉄フライパンがくっつくようになった?

鉄はくっつきやすいフライパンです。

鉄フライパンは使い方と油膜(樹脂層)により食材がくっつくのを防いでいます。間違った使い方(フッ素樹脂加工のフライパンと同じ使い方)や油膜のダメージになるような使い方をしてしまうと食材はくっついてしまうことになります。

扱いに慣れていない場合には注意が必要です。

食材がくっついてしまう仕組みは?

Siセンサー部分の焦げ

鉄フライパンは油膜によりくっつきにくくしています。

油膜とは油が酸化重合することにより形成された樹脂層(ポリマー層)です。油膜の形成が不十分であるとたんぱく質(筋形質たんぱく質)が熱凝固する過程で金属面との凝着を起こしてしまうために食材がくっついてしまいます。

また、温度管理の難しさもあります。

フッ素樹脂加工のフライパンは低温での調理が可能です。これはフッ素樹脂の耐熱使用温度が180~260℃であることに加えて加熱中に筋形質たんぱく質が流出してもフッ素樹脂により凝着が防がれるためです。

鉄フライパンは肉汁が流出しないように調理しなければくっつきやすくなります。

くっつかない鉄フライパンの使い方は?

使い方が原因でくっつく?

鉄フライパンとフッ素樹脂加工のフライパンは使い方が異なります。

鉄フライパンは熱してから油を入れなければ(吸着水の影響により)油なじみが悪くなりますが、フッ素樹脂加工のフライパンは温度を上げすぎるとフッ素樹脂のダメージとなるために低温から調理を始めることになります。

また、鉄フライパンは食材の表面を焼き固めるように調理します。

肉や魚を低温から加熱をしていくと筋繊維の凝固に伴い筋形質たんぱく質を含む肉汁が押し出されるようになります。筋形質たんぱく質は熱変性の過程で金属面に凝着しますので、加熱初期の肉汁の流出は避けなければいけません。

鉄フライパンが表面を焼き固めてから火を弱めて調理するのはこのためです。

MEMO
温度ムラや板厚の違いによりくっつきやすくなることもあります。鉄フライパンに油返しをすることがあるのは温度ムラを解消するためです。温度ムラがあると低温部での表面の焼き固めが不十分になるために肉汁の流出により凝着しやすくなります。また、薄板のフライパンは温度ムラに加えて熱容量が小さく温度が下がりやすいためにくっつきやすくなります。Siセンサー(温度センサー)の付いたガスコンロではこの傾向が強くなります。

油膜の重要性と苦手な料理は?

ある日突然くっつくようになる?

鉄フライパンは煮ものやトマト料理を嫌います。

鉄フライパンは油膜によりくっつくのを防いでいます。しかし、油膜の正体はあくまでも酸化重合した油(劣化した油)ですので油汚れを落とす方法と同じような条件によってダメージを受けることになります。

また、油膜が剥がれればサビやすくもなります。

煮ものは油汚れを浮かせるように油膜を緩めてしまいますし、トマト料理は金属が溶けてしまうために油膜ごと剥がれてしまいます。特にトマト料理の場合は酸化被膜(黒サビ)まで剥離してしまいますので注意が必要です。

銀色の地金がむき出しになると簡単にサビてしまいます。

【まとめ】くっつく鉄フライパンとくっつかない鉄フライパンの違いは?

鉄フライパンは使い方と油膜(酸化重合した油による樹脂層)によりくっつくのを防いでいます。フッ素樹脂加工のフライパンと同じような使い方をしてしまうと高い確率で食材をくっつけてしまいますので、鉄フライパンの使い方を覚えることが先決です。また、使い続けているにもかかわらずなかなか使いやすくならない場合には油ならし(シーズニング)を行うことにより数日で使いやすくなります。油ならしは油脂の選択が重要ですので、乾性油(酸化により硬化する油)の中から入手性の良いものを選んでください。一般的にはグレープシードオイルが人気ですが、個人的にはひまわり油(ハイリノール)が使いやすいと感じています。

1 COMMENT

匿名

どうしても焦げ付く理由がようやく理解できました。フライパンに塗り込む油が酸化するのが嫌でいつも油を入れてから加熱して180度まで上げた所で止めてたし、料理の際もフライパンを温めてから食材を入れると油が撥ねて台所が汚れるのが嫌でいつも常温の状態で食材を入れてから温めてました。その両方の改善を試すのが楽しみです。

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