ハンバーグに加えられる卵の役割は? 卵黄と卵白での異なる効果について

ハンバーグに入れる卵の役割は?

卵はハンバーグのつなぎとして働きます。

卵の卵白はひき肉をこねたことにより生じた網目構造をより緻密なものにしますし、卵黄は肉汁と油を乳化させることによりハンバーグに一体感を持たせます。卵(全卵の溶き卵)はひき肉に対して10%ほど加えるのがセオリーとされています。

また、ハンバーグにコクを加えることにもなります。

卵がつなぎになる理由は?

卵がつなぎになる理由は?

卵は、ひき肉と副材料をつなぎます。

卵白と卵黄は、つなぎとしての役割が異なります。卵白にはひき肉をこねたことにより生じた網目構造(アクトミオシン)を緻密なものにする役割があり、卵黄に含まれるレシチンには肉汁と脂を乳化させる役割があります。

これらの働きにより、肉汁を逃がさずに焼きやすくなります。

役割
卵白網目構造を緻密にする
卵黄肉汁と脂を乳化させる

基本的に、ハンバーグのつなぎは“塩”と“卵”のみです。

玉ねぎやパン粉をハンバーグの“つなぎ”だと紹介しているレシピもありますが、玉ねぎやパン粉につなぎとしての効果はありません。これらの材料は、ハンバーグに“もろさ”をもたらすためものとなります。

よって、肉々しいハンバーグにするためには副材料を減らします。

卵白の役割とは?

卵白の役割とは?

卵白は、アクトミオシンによる網目構造を緻密にします。

ひき肉は、こねることで筋原線維タンパク質であるアクチンとミオシンが溶けだして肉全体に散らばります。アクチンとミオシンは、さらにこねられることによりひも状のアクトミオシンとなり網目構造を形成します。

この網目構造により、肉汁が保持されやすくなります。

卵白に含まれているタンパク質(アルブミンなど)には、アクトミオシンによる網目構造をより緻密なものにする働きがあります。また、アルブミンの熱変性温度は約84℃であるためにハンバーグの内部では完全に固まることはありません。

これらのことからも、柔らかくジューシーな仕上がりになります。

卵黄の役割とは?

卵黄の役割とは?

卵黄には、乳化剤としての働きがあります。

卵黄に含まれているレシチンやLDLタンパク質(低密度のリポタンパク質)には、水と油が混ざり合うようになる“乳化剤”としての働きがあります。肉汁と脂が乳化すると、ハンバーグ全体にまとまりがでます。

また、卵黄特有のコクはハンバーグの味に深みを与えます。

MEMO
一般的な加熱方法(フライパンやオーブンなど)による調理では、ハンバーグ内部が75℃になるまで加熱します。それ以下では食中毒のリスクが高まりますし、それ以上ではハンバーグがパサついてしまいます。これは、肉の殺菌条件が75℃1分以上であることに加え、肉のタンパク質(アクチン)の変性温度が66~73℃、卵白の変性温度が84℃、卵黄の変性温度が75℃以上であるためです。

【まとめ】ハンバーグに加えられる卵の役割は?

卵には、ハンバーグのつなぎとしての役割があります。これは、卵白に含まれているタンパク質(アルブミン)がアクトミオシンによる網目構造を緻密にすることに加え、卵黄に含まれているレシチンやLDLタンパク質(低密度のリポタンパク質)が肉汁と脂が混ざり合うための乳化剤として働くためです。これらの効果により、ハンバーグは柔らかくジューシーな食感を保ちやすくなります。

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