【理屈で解説】鉄フライパンについて

鉄フライパンの酸化被膜とは? 油膜との違いと黒くなる仕組み

鉄フライパンの酸化被膜とは?

金属は、酸化被膜によりサビにくくなります。

たとえば、一般的な雪平鍋の素材であるアルマイトはアルミニウムの表面に酸化アルミニウムの被膜を形成させたものですし、ステンレスは含有するクロムが空気酸化することによって皮膜を形成しています。

鉄フライパンの酸化被膜は、黒さび(四酸化三鉄)となります。

鉄フライパンの酸化被膜とは?

鉄フライパンの酸化被膜とは?

鉄フライパンに生じるサビには2種類があります。

それが、一般的なサビとして認識されている赤さび(Fe2O3)と、赤さびを防ぐために生成される黒さび(Fe3O4)です。黒さびは皮膜となって内部を保護しますが、赤さびは腐食を進行させていきます。

このことからも、鉄フライパンは黒さびを形成させることで赤さびを防ぎます。

サビの種類特徴
黒さび
(Fe3O4
保護層として機能する
赤さび
(Fe2O3
腐食が進行する

新しい鉄フライパンは、高温で空焼きしてから使い始めます。

これは、「防さび塗装を焼き切る」ことと「酸化被膜(黒さび)を形成させる」ことが目的になっています。鉄フライパンを“少し青みがかった灰色“になるまで熱するのは、人工的に黒さびを形成させるためです。

そのためには、585℃まで熱する必要があります。

酸化被膜を形成させるには?

酸化被膜を形成させるには?

酸化被膜は、熱することで形成されます。

しかし、酸化被膜(四酸化三鉄)の形成温度は“585℃”です。約600℃というのは鉄が暗帯赤色に可視発光する温度となりますので、一般家庭の台所で作業するには難しい面があることは否めません。

また、板厚の薄い鉄フライパンの場合には歪みの原因になることもあります。

そのため、必ずしも必要な工程であるとは考えられていません。事実、職業として鉄フライパンを使っている場合であっても酸化被膜の形成にはこだわらないケースは少なくありませんし、そもそも酸化被膜の存在を知らない場合もあります。

これは、鉄フライパンで大切なのは“酸化被膜よりも油膜”であるためです。

MEMO
黒皮鉄の黒皮は、酸化被膜(黒さび)の一つです。鉄をのばす工程で形成された酸化被膜ですので、黒皮鉄のフライパンである場合には高温に熱する必要はありません。しかし、リセットした(ヤスリや研磨剤などで磨いた)場合には、青みがかった灰色になるまで熱して酸化被膜を形成させる必要がある場合もあります。

油膜(ポリマー層)との違いは?

酸化被膜の形成後
酸化被膜の形成後
油膜の形成後
油膜の形成後

鉄フライパンは、油膜(ポリマー層)により使いやすくなります。

油膜には「摩擦係数を減らして食材をくっつきにくくする」という働きがありますので、鉄フライパンは油膜の形成により使いやすく育っていくということになります。

油膜の正体は“油の重合物”です。油は、調理により酸化して“分解”と“重合”という2つの道をたどります。分解すると酸が増えることにより色が濃くなっていき、重合すると粘度が高くなりべとつくようになっていきます。

これらが高分子化合物として付着することにより油膜が形成されていきます。

MEMO
新しい鉄フライパンで野菜くずを炒められることがあるのは、油の劣化による油膜の形成を促すためです。また、積極的に油膜を形成させる場合には、酸化により固化する性質を持つ乾性油(亜麻仁油など)を薄く塗ってから加熱することもあります。油膜はこげ茶色です。酸化被膜の少し青みがかった灰色と組み合わさることにより鉄フライパンは黒くなります。

【まとめ】鉄フライパンの酸化被膜とは?

鉄フライパンには、酸化被膜を形成させることがあります。この場合の酸化被膜とは、黒さび(四酸化三鉄)のことを指します。鉄は、黒さび(保護層となるサビ)ができることにより赤さび(腐食を進行させるサビ)を防ぐことにつながります。しかし、黒さびの形成には585℃まで熱する必要がありますので、必ずしも作らなければいけないものではありません。

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